どこまで芒こんなところで死にたくなし/中村苑子


◇買った本



 くまざわ書店に「現代詩手帖」の今月号があるかなと思ったら、
 やはりなかった。「新しい詩人シリーズ」は6冊ともあるし、吉本の
 全詩集の分冊版も全部あるのにね。
 大澤真幸のくそ分厚い本を平積みしてたけど売れるのかしらん。
 文庫の棚を見ていたらこの本があったので購入。
 解説は福田和也。自分でも「引用ばっかりでごまかしてる」とか
 書いていてその通りなんだけど、それはまあそれでいいのでは。
 あの四谷ラウンドから出ていたブックレビュー本で、
 文庫の原著を福田和也が絶賛していたと本書に記述が。
 本書はエロ漫画界の編集業の著者が、日々の仕事や
 映画や書籍の感想を書きつづった日録の集積。
 原著は『嫌われ者の記』という単行本でこれは南陀楼さんがそこから
 編集したもので、元本の3分の1ほどとか。
 読んでる本のラインナップ、見てる映画のタイトルがすごいなあ
 と思ってしまう。
 引用するとこ探してるとついつい読みふけってしまうので、
 引用はなしね。


◇届いた本


*「五七五定型」  第二号 小池正博/野口裕 二人誌


 一年に一回、五冊出す予定らしい雑誌の二号目。
 小池さんは川柳・連句のひとで、野口さんは「五七五作品」の
 ひとらしい。
 俳句や短歌というのは書く者に上昇志向がないと結局その書く人が作家として
 成立しがたいとこがあるんだけども、そこがまたジャンルの延命や
 収穫を保証している。
 この五、六年で川柳に対する史的な知識というのはある程度私は
 増えたんだけれど、逆にそれが実際の川柳作品を読むときの障害に
 なってるようなとこがあるのですね。
 そういうわけでセレクション柳人シリーズもなかなか読みがたい日々が
 続いております。
 本号の小池さんの巻頭の「ヌートリア50句」は語彙が自分と近い気がして、


雨の匂いを狼魚は言い当てる   小池正博


 なんかはなるほどね、と思うのですが。


生きていると 遠くに嫌な帽子がある  中村富二


眠むくなると 遠くに好きな帽子がある  中村富二


 小池さんが評論の中で引用している富二の句で、こういう句は
 私はいいな、と思うんですけど、川柳というのがこういうものでもある、
 と知らないひとに「伝わっていく」のには、まだまだ時間が必要な
 気がします。「伝わっていく」とはどういうことか、
 というのも明言出来ないのですけどね・・・。