ところで


◇ところで、「水声通信」5号の藤沢周の文章を読むと、城戸朱理
 野村喜和夫のことを「ノムりん」と呼ぶ場面が出てくる。
 ノムりん! 氏名ににラ行があると「−りん」になりタ行があると
 「−ちん」にはなるというものの。


◇ところで、いつのまにか号数をかさねている「水声通信」は、
 いささか懐かしいハイカルチャー雑誌なんだけど、
 特集が確かに「特別編集」の略、といった感じで、
 正直こんなに野村が人気詩人だとは知らなかったので、
 それなりに勉強になったのだった。
 「インターコミュニケーション」よりはおもしろく、
 昔の「カイエ」ほどはジャズっぽくないつーか。


◇ところで、そういえば昔私は楽天で家にある本を売ってみたのだが、
 そのとき野村の『特性のない陽のもとに』も出品したのだった。
 買ってくれたのは昔短歌を書いていて今はメールアートを
 やってる、という、遠い昔の友人の友人のような人で、
 この特集で「夜のみだらなアンギラス」という詩句の引用を見て、
 あ、そこだけおもしろいと思ったんだ、と想起した。
 この特集号を買っても、半分ほど読むまで、そんな本を買ったことも
 売ったことも忘れていた。


◇ところで、サークルKで今売っている、
 「やわらかクリームパン」のカスタードクリームは、
 105円のくせにわりかしうまいと思うのだがどうだろう。


◇ところで、気持ちはわかるような気もするが、
 こんなに野村の詩について語ってくれるなら、
 たとえばこういう場所で、吉川宏志の短歌について
 語ってくれてもよいのではないか。
 ギー・ドゥボールとかアルテ・ポーヴェラとかはよくわからないが、
 トリン・T・ミンハぐらいなら見てそうだし。
 表現の半勃起性のなかに逆説的に知的な世界像を提出する、
 というようなものではないが、吉川のやってることは結構難しいことだと
 思うんだけどなー。
 そのうち「ユリイカ」は穂村弘特集でも組むんだろうけど、
 それはそれとして、である。


*ねむいねむい僕の代わりに月光のえのころぐさを見張ってほしい
             歌集『夜光』 吉川宏志


◇ところで、結局どうなったのかな、と思っていた、

可能世界・人工知能・物語理論 (叢書 記号学的実践)

可能世界・人工知能・物語理論 (叢書 記号学的実践)

 はきちんと出版されていたのであった。


◇ところで、宮川淳の『美術史とその言説(ディスクール)』は、
 私の持ってる中央公論社版は1800円なのに、
 水声社版はなぜか3800円もする、と
 思っていたら、ページ数が多くなっているので、
 増補か何かあるのだろう。


◇ところで、岩波書店から、

完本 正岡容寄席随筆

完本 正岡容寄席随筆

 などという本が出るらしく、夕刊下の月例の刊行案内で見て、
 ちょっと驚いた。


◇ところで、「en-taxi」5号には、東京堂・ふくろう店が
 当時行ったブックフェア「坪内祐三書棚」のうち、新刊246冊の
 リストが載っているのだが、草森紳一山田稔はそれなりにしても、
 黒川創の四冊はきついのではないか。
 いやいや。きっついなー。いやいや。


◇ところで、枡野浩一さんのblogに、枡野さんが寄稿した
 メルマガのリンクがはってあるのだが、
 これがソフトバンクの書籍のPRメルマガみたいで、
 山形浩生の短いエッセイが月一で連載されてるのだった。
 いろんなところにいろんなもんが載ってるもんだわ。


◇ところで、今日も近所のブックオフに行くと、ボーイズラブゲームの
 専門誌「Bs'LOG」がCDROMつきで105円で売っていたのだが、
 さすがにきついなーと思って買わなかった。
 ハードゲイゲームかー。きついなー。うーん。


◇ところで、ほんとにいまさらなのだが、ドリキャスで、
 『ソウルキャリバー』『セガラリー2』を動かしてみた。
 素人考えなのだが、どうもハードとして、ライティングの表示が
 きつすぎるというか、『ソウルキャリバー』なんか、
 光源が画面の奥に設定されるとキャラクターが
 ほとんど黒色になるわけで、それは視覚の快感性を求める、
 ゲームの世界とはまた違うものなのではないか。
 そういう意味ではまだ買ってないが、このハードで
 『シェンムー』を作った鈴木裕はえらいのやどうなのやら。
 とはいえ、そのブックオフで「シェンムー」「シェンムー2」の
 攻略本が揃って一冊100円であったので、
 珍しいから買っておこうかなと迷っていたら、
 一日たったらもうなかった!
 オークションで売れば高くなるのかな?


◇ところで、またマクドでコーヒーを飲んでると、
 店員が「カウントダウン2006」とかいう、
 12/31までホットコーヒーが30円引きになるという
 券を配ってくれた。
 カウント! ダウン!
 突然にミクシイで「カウントダウンの詩のコミュ」という、
 12/31までに「とにかく<詩>を書いてアップするコミュ」
 というのを思いつく。
 なぜ私たちはそんなにたかがゲーム機やパソコンのOSに
 「逆算」などしなければならないのか。
 カウントはアップするものなのに、
 ダウンにそれほど盛り上がるのはなぜなのか。
 なぜだ。なぜなんだよぉ〜。


◇ところで、なぜ今日はこんなに「ところで」を使うのかというと、
 その野村特集の藤沢周の文章に、自分の30冊ほどの小説の中で、
 「ところで」という言葉を地の文で使ったものは一冊もない、
 と書いてあったからなのだ。
 「クリスマスの鏡」という朗読テープの録音その他をしてくれた
 丸山さんは、「8年間昼飯を食べたことがない」と昔言っていた。
 いろいろなこだわりがあるものである。